はじめに
出来ることを精一杯。
得点者
ノッティンガム・フォレスト 2-3 チェルシー
得点:前半16分 ウィリー・ボリー、後半29分 カラム・ハドソン=オドイ(ノッティンガム・フォレスト)/前半8分 ミハイロ・ムドリク、後半35分 ラヒーム・スターリング、後半37分 ニコラス・ジャクソン(チェルシー)
試合前
前節は曲者ウェストハム相手に見事な勝利を飾ったチェルシー。
クロスバーに3度救われる幸運もあったものの、攻撃陣が爆発し5ゴールを記録。
ニコラス・ジャクソン、コール・パーマー、ノニ・マドゥエケらFW陣のゴールで勝利を抑めた点も前向きなポイントだ。
またスパーズ戦に続き2試合連続のクリーンシートと守備陣も堅守を構築。
今季限りでの退団を表明しながらも健在ぶりを見せつけるチアゴ・シウバを筆頭に、ブノワ・バディアシルの復活、トレヴォ・チャロバーやアルフィー・ギルクリストのユーティリティ性、そして何より、マルク・ククレジャの新境地開拓が好調を支えている。
2試合連続で会心の勝利が続いており、負傷者も続々と戦線に帰ってきた。
クリストファー・エンクンクをはじめ、マロ・グスト、アクセル・ディサシら主力級が続々復帰。
さらに今節は主将リース・ジェームズがようやく帰還。
上位陣の結果を待つ受け身の状況は変わらないものの、前節はマンチェスター・ユナイテッドがクリスタルパレスに大敗し、ついに順位が逆転。
ECL、上手くいけばELも狙える位置に浮上し、他力本願ながら来季のヨーロッパも見えてきた。
トッテナム、マンチェスター・ユナイテッドとライバルが軒並み調子を落とす中、ラストスパートをかけたいところだ。
上向きな調子を維持するために、最後まで連勝が求められる。
対するフォレストは残留争いの渦中。
得失点差が離れていることが奏功し、降格圏のルートンとは勝点3差ながらほぼ残留濃厚。
本来であればとっくに決めているはずだが、今年はエヴァートンも被った財務規定違反の影響が大きい。
ほぼ確定、とはいえ勝点1を加えて安心仕切りたいところか。
前節5ゴールで大勝したチェルシーに対し、フォレストも最下位のシェフィールドを3ゴールで撃破しており、攻撃が好調。
前回対戦ではエランガが決勝点を奪い、アウェーながらフォレストが勝利を奪取。
チェルシーとしては当然ダブルを許すわけにはいかない。
フォレスト期待の選手は前節2ゴールと躍動したカラム・ハドソン・オドイ。
チェルシー下部組織出身の俊英が恩返し弾を狙う。
オドイの起用が予想されるサイドでは、チャロバーがスタメンに入ったが、ベンチにはマロ・グストとリース・ジェームズが控える。
チェルシーも過密日程をようやく抜け、スカッドも徐々に厚みを増してきた。
RJをはじめ、ベンチメンバーの奮闘にも期待をしたい。
前節から変更のないスタメンで迎えた試合ながらベンチは厚くなったチェルシー。
しっかりと勝利し、前へプレッシャーをかけたいところだ。
試合内容
勝点1で残留の決まるフォレストが立ち上がりにいきなりチャンス。
クリス・ウッドが抜け出しループシュートを放つが、ここはペトロビッチが前に出てビッグセーブ。
いきなり肝を冷やしたチェルシーに対し、いい入りをしたフォレスト。
ホームチームが勢いを持ったかと思いきや、一気にひっくり返したのはエースと10番。
中盤からコール・パーマーが裏へのスルーパスを送ると、反応したのはミハイロ・ムドリク。
すさまじいスピードでDFの背後をとり、最後は右足で冷静に流し込み。
的確にコースを突いたシュートでチェルシーが早々の先制点を奪った。
プランの崩れたフォレストはオドイを起点に仕掛けるが、同じ下部組織出身のチャロバーと高い守備意識を見せるマドゥエケで抗戦する。
連続でクリーンシートを果たしていたチェルシーだが、セットプレーで集中を欠いてしまう。
自分たちのCKからカウンターを食らうと、ファール覚悟のストップでFKを献上。
ギブスホワイトのボールをあっさりとボリーに合わせられ、試合は振り出しに。
トランジションが加速する試合はウッド、ジャクソンの両CFにチャンスが訪れるが、どちらも決めきれず。
ここまでの連戦と同様、中盤に入るククレジャを起点に落ち着きたいチェルシー。
ノニ・マドゥエケが仕掛けを見せるが、こちらも元チェルシー、オラ・アイナが好守で応戦する。
勝ち越しを狙うチェルシーは再びコール・パーマーがスルーパス。
1vs1を迎えたニコラス・ジャクソンだったが、ここはGKのファインセーブに阻まれた。
ここまでの2試合とは違い、中盤を厚くするフォレストの前にテンポが上がらないチェルシー。
ムドリク、マドゥエケらに効果的なボールが入らず、チームとしてもシュートが増えない。
どちらかと言えばフォレストが狙い通りの45分で前半を終えた。
両チームが勢いを持って入った後半、お互いにサイドを深く抉るが、シュートまでは至らず。
球際で勝るフォレストが中盤で刈り取りイェーツが打つが、ここはポストに救われた。
前半同様後手を踏む展開に、ポチェッティーノが早くも動く。
交代直前にギブスホワイトとウッドにビッグチャンスが訪れるが、ここはポストとミスで難を逃れた。
チェルシーはエンクンクとグストを投入し推進力を上げにいく。
そのエンクンクのプレスで得たセットプレーからチアゴ・シウバが合わせるが、今度はアウェーチームがポストに嫌われた。
ククレジャをワイドに置き直し、ポゼッションを図るチェルシーに対し、フォレストは引き続き鋭いカウンターで応戦。
ハドソンオドイが得意のカットインを仕掛けるが、今度はクロスバー。
枠に救われたチェルシーだったが、次のチャンスを好調のWGは逃さず。
二度目のコントロールショットを今度はしっかりとゴールに収め、フォレストが逆転に成功する。
古巣相手の恩返しゴールを浴び消沈のアウェーチーム。
しかし今度はチェルシーの左WGと主将の投入が試合の流れを一変させる。
交代出場のスターリングがお返しとばかりに鮮やかなカットインからコントロールショット。
見事に沈め同点に追いつくと、今度はこの男が魅せる。
右サイドを抜け出したのは途中投入されたばかりのリース・ジェームズ。
高精度のクロスはジャクソンのヘッドにピタリ。
あっという間に試合を再度ひっくり返し、ジャクソンはリーグ戦の14点目と10枚目のイエローを獲得した。
ベンチワークと本来の選手層で盛り返したチェルシーは守備でもジェームズが力強い対応でサイドを締める。
両翼を制したチェルシーが優位に時計の針を進めはじめる。
最後はフォレストのセットプレーもしっかりと守りきり、敵地で勝点3を奪取。
得失点差は大きいものの、6位のニューカッスルに勝点で並び、欧州カップ戦を争う熾烈な戦線に生き残った。
選手採点
GK
ジョルジェ・ペトロビッチ 6.0
3試合連続のクリーンシートは果たせなかったが、2つの失点の責任は求めづらい。
とはいえ、課題のセットプレー対応は彼含めて改善を図りたいところ。
ロングスローも多用する相手に序盤の処理はバタついたものの、徐々に適応し安定感を取り戻す。
ハマーズ戦同様枠に救われるシーンもいくつかあり、ある意味「持っている」GKである。
DF
チアゴ・シウバ 6.0
退団が決まってもフル稼働は変わらず。
撤退を選択したフォレスト相手にボールを持たされるが、選択肢が少なく配球に苦慮。
どちらかといえば御大より周りのオフザボールに課題がありそう。
後半はセットプレーから得意のヘッドを放つもポストに阻まれ、キャリアハイ更新はならず。
残り2試合、連勝で送り出したい。
ブノワ・バディアシル 5.5
ここ最近は落ち着きを見せており、致命的なエラーも減ってはいたが、開始直後からウッドに苦戦。
何度かしてやられ、「外してくれた」シーンの方が目立った。
ビルドアップでも詰まるシーンが目立ち、有効な組み立てには貢献できず。
戦術的な理由から後半早い段階でベンチに下がる。
トレヴォ・チャロバー 5.5
右SBでこの日も先発出場。
勝手知ったるであろうオドイが相手だったが、かなりやられた印象。
もともと持ち上がりをタスクとしては求められていないが、攻撃での貢献も希薄。
CBに入ってからは安定していたが、2失点目をはじめブロックの立ち位置は改善の余地ありか。
マルク・ククレジャ 6.0
直近は中盤にボジションを取る形が機能していたが、この日はフォレストがしっかりと対策をしていた。
自身もなかなかボールを引き出せず、前半は消化不良気味。
後半からは通常のSBの立ち位置に戻され、タスクとロールが変化したが、もとの器用さで柔軟に対応できるのはさすが。
突っ込み癖は少し不安だが、対人の強さで縦に早いWGにもしっかりと応戦した。
MF
モイセス・カイセド 7.0
攻守で圧倒的なスキルを発揮する。
エンソ不在を感じさせない散らしで、中盤どころかゲーム全体を支配。
特に後半は更にその存在感を増し、逆転弾を演出したキックは一見の価値あり。
アンカーとして別格の完成度ながらまだ22歳。
末恐ろしい選手だ。
コナー・ギャラガー 5.5
ブロックを敷く相手に「らしさ」を失ってしまうのは彼の課題。
顔を出そうという気概は見えるが、そこからの脅威とはなれず。
ミドルもあるプレーヤーだけに、もう少し積極性があっても良いか。
復帰のジェームズに腕章を託し、途中交代。
コール・パーマー 7.0
引いた相手に対し、この日はやや低めの位置で攻撃参加。
彼が振れるシーンは限られたが、見事なスルーパスで創造性を見せつける。
中央に位置取ることで、徐々にムドリクとの関係性も築かれ、絶妙なパスで今季10アシスト目。
得点こそなかったが、クリエイティビティでは一つ抜けた存在であることを示す。
FW
ミハイロ・ムドリク 7.0
見事な裏への抜け出しで相手を出し抜き、冷静なフィニッシュで先制弾をマーク。
なかなか結果が出ていない中、味方との連携と丁寧なフィニッシュで得たゴールは、チームにとっても価値が高い。
その後の貢献は限られたこと、次のビッグチャンスでは雑さが出たことは要反省。
とはいえ10番が結果を出し、さらにエースのパーマーと息が合い出しているのは大きな収穫だ。
ノニ・マドゥエケ 5.5
良い形でボールを受けられず、得意の仕掛けは限られた。
アイナ相手にキレを見せるシーンはあったものの、普段の圧倒的な彼を知る身からは物足りず。
まあ連戦の疲労も否めないだろう。
戦術的な理由から、後半早々にベンチに下がる
ニコラス・ジャクソン 7.0
珍しくこの日はロストが多かったが、それを帳消しにする決勝点を高く評価。
前半普通に1vs1を外した際はまたかと思ったが、後半終盤には値千金のゴールを決めきった。
まあリース・ジェームズが外すのが難しいレベルのクロスをくれたのはあるが、それでも決めたのは彼。
観客席に飛び込み、イエローカードの記録更新まで狙う必要はなかったが。
交代選手
マロ・グスト 6.0
後半早い時間で交代出場。
投入直後から推進力のあるプレーで右サイドから攻撃を作る。
ジェームズ投入後は中盤に寄り、大外を提供する理解度の高さも評価。
復帰戦にしてはまずまずの出来だったが、対敵したオドイにゴールを奪われ、逆に自身は好機を仕留めきれなかった。
クリストファー・エンクンク 6.0
リハビリ以上のプレーを期待されピッチイン。
柔らかいボールタッチで上手く起点となり、圧力の維持に貢献。
調子がかなり戻りつつあるようなのは間違いなく朗報。
あとは最後の精度だけで、次節はより直接的にゴールに絡むプレーに期待したい。
ラヒーム・スターリング 7.0
ワンチャンスをものにする見事な右足で試合の流れを一気にひっくり返す。
ムドリク、さらにはオドイも躍動と左WGにバフがかかるスタジアムなのかもしれない。
湧くホームチームを一気に混乱に叩き落とした美弾は展開的にも大きく、逆転勝利の立役者の一人。
ベテランの意地は主将の復帰と並んで取り上げたいトピックだ。
リース・ジェームズ 7.0
復帰戦で大きな仕事。
沈むチームを活性化させるオーバーラップでファーストタッチからチャンスメイク。
期待感を持たせた次のプレーでパーフェクトなアシストを記録し、「出れば世界最高」の理由を自ら証明。
雰囲気を一変させるスター性や、相手WGを弾き飛ばす力強い守備もチームを勇気づける。
あとは本当に稼働率だけ。
監督
マウリシオ・ポチェッティーノ 7.0
機能しないと見るやすぐに布陣と人の入れ替えを敢行。
手札が揃ってきたこともあるが、指揮官の英断と修正力で掴んだ勝利と言っても良いだろう。
カードを切るタイミングも結果的にはベストで、切り札投入が当たった格好に。
鋭い采配で3連勝を手繰り寄せた。
終わりに
メディカルの補強頼みます。
コメント