はじめに
ライバルや周りの選手が上手くなることを恐れるな
得点者
チェルシー 4-2 ブライトン
得点:前半21、28、31、41分 コール・パーマー(チェルシー)/前半7分 ジョルジニオ・ルター、前半34分 カルロス・バレバ(ブライトン)
試合前
ボーンマス、ウェストハムの曲者アウェー二連戦を終えたチェルシー。
結果は勝ち点6という最高のもので、順位もじわじわと上がってきた。
ボーンマス戦ではクリストファー・エンクンクが、ウェストハム戦ではニコラス・ジャクソンが活躍を見せるなど、FW陣が特に元気だ。
ミッドウィークに行われたリーグ杯バロー戦ではスタメン全員を入れ替える大胆な采配。
それでも選手層が大きく落ちることはなく、エンクンクのハットトリックやペドロ・ネトの移籍後初ゴールなど計5発。
4部相手に格の違いを見せつける大勝劇だった。
格下相手とは言え大幅なターンオーバーを敢行しながらの完勝。
欲しかったプレーヤーにも結果が生まれ、マロ・グストやカーニー・チュクエメカが復帰を果たすなどポジティブな要素の多い試合となった。
スタメン組は休養十分で迎えるリーグ戦。
相手は古巣組も多いブライトンである。
エバートン、マンチェスターユナイテッドと開幕二連勝を飾ったが、ここ3戦は連続ドローと勝点はやや伸び悩み。
それでもチームの動き自体は悪くなく、ベテランFWのダニー・ウェルベックが好調。
得点がとれており、ドローが多いとはいえここまで負けなしで来ている。
昨季は欠場が多かった三苫薫も開幕から存在感を見せており、毎節鋭い突破を披露中。
チェルシーとしては、このプレミア屈指の強力WG相手に、グストの復帰が間に合ったのが心強い。
またロベルト・サンチェスやモイセス・カイセド、レヴィ・コルウィルら、ハイパフォーマンスを維持している元ブライトン勢にも要注目。
チェルシーのスタメンには古巣組に加え、リーグ杯は完全休養に当てられた面々が名を連ね、前節とほぼ同じ布陣に。
攻撃陣は引き続きコール・パーマー、ノニ・マドゥエケらが選ばれたが、エンクンクやジョアン・フェリックスが控えるベンチは良い競争を感じさせる。
注目のCCBではウェズレイ・フォファナが戻り、マロ・グストが右SBに復帰。
ベンチからはベン・チルウェル、チュクエメカら復帰勢が漏れ、スカッドの分厚さを示す格好に。
対するブライトンは好調の三苫薫、ウェルベックらは当然先発したが、ジョアン・ペドロやファン・ヘッケなどの主力は欠場。
難敵ではあるが、昨季はシーズンダブルを達成し、PSMでも勝利している相手。
良い流れを継続し、ホームでの今季初白星を狙う。
選手採点
GK
ロベルト・サンチェス 4.0
酷すぎる判断ミスでブライトンに先制点をプレゼント。
パーマーに取り替えしてもらった直後には切り換えるどころか、再び古巣に恩を返す。
信じられないキックミスで2失点目を献上した。
スパイとしか言えない出来で、ブライトンの誰よりも脅威に。
良い反応を見せるシーンもあるにはあったが、それを帳消しにする失態がかなり目立った。
採点は極めて低くつけざるを得ない。
DF
マロ・グスト 6.5
三苫薫相手に堂々の立ち振る舞い。
1vs1の回数は増えたが、カイセドのカバーを使わないままでも守り抜ける対人強度はさすがの一言。
リーグ杯で復帰していたとはいえ、いきなりの強敵にも素晴らしい対応だった。
時間の経過に従い積極的な持ち上がりも増え、逆サイドへサポートに出向くシーンも。
本職CBのプレーヤーが枠を埋めていたが、クオリティの差は明確で及第点を超える出来。
それにしてもリース・ジェームズは何をしているのか。
レヴィ・コルウィル 6.0
好調のウェルベックを相手に奮戦。
フィジカルに優れたCFとの戦いでも、目に見えて劣後することはほぼなくなり、陸空共に力強くファイトした。
徐々に守備で安定感も出始めている印象で、CB陣の中では頭一つ抜けた感がある。
攻撃では鋭い左足がチームの起点、そして大きな武器として確立されはじめた。
対角への超ロングキックや縦への楔でスイッチを入れるプレーは前に出てくる相手に特に効果的だった。
ウェズレイ・フォファナ 6.0
ビルドアップにはかなり苦慮し、出し手に詰まるシーンもしばしば。
二失点目はほぼサンチェスが悪いのだが、サンチェスであることを考慮して組み立てないといけなかったか。
前への強さを発揮した潰しなど、良いシーンもあったが、絶対的な安定感とはまだ言い難い印象。
GKとのコミュニケーション含め、伸びしろなのだろうか。
アダラバイヨが存在感を増す中、ポジションを確固たるものには出来なかったように見える。
マルク・ククレジャ 6.5
アグレッシブなプレーでブライトンの若い二列目と対敵。
早い時間でのカードで難しい選択が増えたが、自身のサイドから決壊は許さず。
鋭い出足は変わらないまま、後半からは攻撃参加でも貢献した。
交代直前にはセットプレーからゴールかと思いきや、オフサイドに取り消され恩返し弾はならず。
ちょこちょこ二枚目が懸念されるシーンもあったため、後半途中で安全重視の交代。
MF
モイセス・カイセド 6.5
古巣相手に今節もさすがの出来。
特に前半のオープンな時間帯では、激しいデュエルで中盤が最大の混沌へ陥ることを回避。
前後にアグレッシブなプレスでブライトンの攻撃を再三遮断し、カウンターの一歩目としての役割も。
どんな流れでも存在感を見せられる能力の高さは、今のチームの屋台骨である。
見知った顔も多い中、OBの貫録を示す。
エンソ・フェルナンデス 6.5
ハイラインを敷くブライトンをロングパスで射貫き続ける。
自身の強みが発揮しやすい対戦相手であったこともあり、スピードある攻撃陣をよく加速させた。
反面、推進力で前進してきたバレバへの守備対応は難しかったか。
まあ多少相手が悪いのはある。
後半途中で守備強度も含めてかラヴィアと交代。
FW
コール・パーマー 9.0
今季もコール・パーマーFCである。
1つ目は珍しく枠に当てたが、いいウォーミングアップだったか。
ジャクソンからのアシスト、PK、さらには美しすぎる直接FKで10分足らずのハットトリック。
それだけでも別格なのだが、前半のうちに強烈な4点目まで記録。
手が付けられない怪物ぶりだった。
後半はやや下りながらジャクソンを走らせ続けるが、アシストは最後まで付かなかった。
試合のコントロールをチームが選んだこともあり5点目とはならなかったが、前半のみでの4ゴールは何とプレミア初。
今季も彼頼みで何が悪いのだろうか。
ノニ・マドゥエケ 6.5
ハイライン相手に持ち味のスピードで好機を演出。
自身も左足を振る機会があったが、惜しくもポストをかすめる。
ショートカウンターから何度かいい形を迎えただけに、一つ結果が欲しかったのは間違いないだろう。
鋭い突破でエストピニャンを苦しめた。
高い守備貢献度は後ろのグストの助けにもなったはず。
後半途中でネトと交代。
ジェイドン・サンチョ 7.0
初ゴールはオフサイドに取り消されたが、見事なコンビネーションで貴重なPKを奪取。
前半はさらにアシストも重ね、今日もしっかりと得点に絡んだ。
守備も含めて左サイドから抜群の存在感を放ち、左の1stチョイスは決まった感がある。
行くべきところ、止まるべきところの判断が良く、かつそれをゼロヒャクで操れる技術と緩急を併せ持つ。
自身の役割を全うし、ムドリクに出番を譲る。
ニコラス・ジャクソン 6.5
バックパスを狡猾に狙い同点弾をアシスト。
その後も得意の裏抜けを生かし何度もブライトンゴールに迫るが、どうしても得点には至らず。
ファーストタッチや抜け出しまでは本当に完璧なのだが。
振り切ったはずのダンクやウェブスターに最後の最後で足を出されていた。
1アシスト以上の好機はあっただけに、やや不満げに途中交代。
交代選手
ペドロ・ネト 6.0
この日は右で途中出場。
右での出場はチェルシーでは初だったか、持ち味をもう少し出したかったところ。
守備では深い位置まで献身的に戻り、マドゥエケ同様よく守備にも貢献した。
意図的に試合展開を落ち着かせたこともあり、ネトへ訪れたチャンスは多くなく。
得意のサイドで十分なアピールとはならなかったが、最低限のタスクは果たした。
レナト・ヴェイガ 6.0
イエローを受けていたククレジャに代わり左SBで交代出場。
この日は純粋なSBとしての出場だったが、身体の強さを活かした守備で左サイドを引き締める。
ブライトンもスピードあるWGを投入し、突破口と目していたが、冷静な対応や長身で危険なシーンはほとんど作らせなかった。
守備固めとしては十分なプレーで逃げ切りに貢献。
チルウェル復帰後も簡単に左SB二番手の座は譲らなそう。
ミハイロ・ムドリク 5.5
サンチョに代わり左WGで投入。
フェリックスやエンクンクもいる中での抜擢交代だったが、うーん、インパクトを残せたとは言い難い。
後半は意図的にチームでペースを落としたとはいえ、最大の武器である爆発的なスピードを生かすためのスペースは豊富にあった。
攻撃時の飛び出しやカウンター時のスプリントはやはりどこか物足りず、好機の演出に絡めず。
守備も緩くはないもののタイトとは言えず、サンチョの活躍ぶりを見るにスタメン争いに名乗りを上げるには程遠い出来。
ロメオ・ラヴィア 6.0
負傷からの復帰戦。
ちょこちょこ怪しかったビルドアップを落ち着かせる役割と、守備の引き締めを担う。
復帰戦にしては割と重めのタスクだったが、難なくこなしていたのはさすがのセンス。
エンソやカイセドの控えにこのレベルの若手がいるのは将来的にも安泰である。
自身に与えられたミッションをしっかりと完遂し試合をクローズ。
本当にケガだけしないでくれ。
クリストファー・エンクンク 6.0
ジャクソンに代わり1トップの位置に入る
終盤でコントロールに入りながらの時間帯だったため、そこまで自身がゴールに迫るシーンはなかった。
リーグ杯ではハットトリックをしただけに、やや悔しいところはあるだろうが、ジャクソンの活躍も十二分なので致し方ないか。
サポから見ると、後半途中からエンクンクが出てきてくれるのはありがたい限りだが。
監督
エンツォ・マレスカ 7.0
守護神のミスから2つ失い、エースの躍動で4つ取り換えすという、かなり個人に左右された90分だった。
一方でハイラインを執拗に狙った前半と制御の比重を高めた後半と、狙いと修正はしっかりチームに馴染んでいた。
交代策も的確で、ムドリクやネトといったWG陣に長い時間を与え、ラヴィアのリハビリにも成功。
スカッドを上手く回しながら充実の試合でリーグ戦3連勝を飾った。
退屈になると聞いていたが、あまりその気配はこの序盤戦では見受けられず。
気になるのは次節の守護神起用。
終わりに
4得点は採点がバグる。
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