カラム・ハドソン・オドイ―逸材の現在地

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こんにちは。起きたら夕方になっていた私です。相変わらずの3:45分はきついですね。

とはいえ試合開始1時間前から上がったサポーターも多いのではないでしょうか。
18歳の新星、カラム・ハドソン・オドイがリーグ戦初スタメンを果たしましたね。試合前からいよいよじゃないかといわれつつ、いざその名前が公式Twitterで発表されると大いに盛り上がりました。

というわけで今日はそんなハドソン・オドイについてです。

スタメン

右ウイングはカラム・ハドソン・オドイ―。2000年生まれの逸材がとうとうつかんだリーグ戦初スタメンに異を唱える者はいなかった。

前節のカーディフ戦は誤審の末に勝点3を拾ったチェルシー。なんとか2得点は奪ったものの拙攻が目立ち、延々と続くパス回しの一方で決定機の少ない展開にサポーターのいら立ちは募る一方。なんとか4位争いには食らいついているものの、このままではシーズン終了後にCL権は得られないだろう、という意見が大半を占めた。

閉塞感を打破するために(過密日程でのターンオーバーももちろん理由の一つだろうが)マウリシオ・サッリは逸材の先発起用を決断した

デビューから今まで

チェルシーの下部組織は非常に強い。FAユースカップはもちろん、UEFAユースリーグでも結果を残し、今や欧州最強の下部組織である。

ところがその一方でトップチームへの定着度は非常に低い。ここ最近でこそルベン・ロフタス・チークがやや出場機会を増やしつつあるが、それでも押しも押されぬ主力になったとは言い難かった。レンタルに回されチェルシー以外のどこかでキャリアを進めていくのが因習であり悪癖であった。

だからこそ、オドイにかかる期待は大きい。ユースの最高傑作と言われる彼が活躍できなければ、それはそのままユース選手が今後トップチームで輝く未来を奪うことになるからだ。逆にオドイが目を見張るような活躍をすれば、ユースへの目の向け方も変わっていくに違いない

前監督、アントニオ・コンテ政権でデビューを果たすと、今季はPSMで存在感を発揮。序盤こそ出場機会は少なかったが、中盤から終盤戦にかけてELで躍動。チェルシーのベスト8進出に大きく貢献する。

しかしリーグ戦での出番は限られた。絶対エースのエデン・アザールをはじめ、ウィリアン、ペドロの実力者たちがそろうウイング勢に入っていくのは並大抵ではなかった。チームもCL権争いの渦中で、いくら期待のホープとはいえ若手を使うほど余裕ある展開にはならなかった。

「hudson odoi」の画像検索結果
(Sky Sportsより)序盤は出場機会に恵まれなかった

バイエルンからのオファー

徐々に存在感を増すオドイの周辺が騒がしくなったのは冬の市場でバイエルンのオファーが明らかになった時だ。コンスタントに結果を出していたとは言い難い若手に対して巨額のオファーを何度も提示。報道の中には来夏での退団が濃厚のアリエン・ロッベンが付ける10番を渡すといった話も出ていた。

それがELでの活躍の一方でリーグ戦での出番が限られていたころだったので話は膨らんだ。出場機会を得るためにドルトムントへと渡り大活躍、イングランド代表からも声がかかった同じ18歳のジェイドン・サンチョの存在も揺さぶりをかけた。

しかし意外にもオドイ自身は冷静を保っていたように見える。この手の話が出ると練習をボイコットする選手も少なくないが、練習拒否はおろか、試合でのパフォーマンスも落ちることはなく、コメントも落ち着いていた(クラブから釘を刺されていただろうが)

結局アザールの去就や来夏の補強禁止なども含め。もちろんオドイは売り物でないという事実で断固拒否の姿勢をチェルシー側が示し騒動は収束。まだバイエルンは関心を持っているとのことだが、当面は青いユニフォームを着ることが決まった。

逆説的にではあるが、ドイツの絶対王者がここまでしつこく絡んできたのがオドイの天賦の才を示しているとも言えるだろう。この一件を経て(若干気を使ったのか)出場機会も増加。最初のうちはそこまでインパクトは残せなかったものの、連携含め徐々に向上が見られた。そしてついに、ブライトン戦でリーグ戦初スタメンを飾るのである。

驚異的な成長

オドイはブライトン戦で再三サイドを突破し好機を作る。それが報われたのが前半38分。クノッカールとの1対1を簡単に制するとニアに精度の高いグラウンダークロスを供給。オリヴィエ・ジルーが押し込み貴重な先制点をアシストした。
その後アザールとロフタス・チークがゴールを奪い、終わってみれば3-0。久々の完勝にサポーターも熱狂した。

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(Evening Standardより)同じく下部組織出身のロフタス・チークとは好連携を見せる

ジルーの得点シーンはオドイの特徴であるスピードを生かした1対1と高精度クロスが生んだもの。ELで試合を重ねていたジルーとの好連携も光った。

とはいえこのシーンも以前の彼ならできてはいない。もともと左サイドを最も得意とし、特にカットインからのシュートを武器としていたオドイにとって右サイドは適正ポジションではなかった。しかし右サイドでの出場を重ねるにつれ、効果的なプレーも増えてきた。今ではチェルシーのなかで、最も危険なクロスを送れる存在にすらなりつつある。

オドイの成長はポジション適応だけに留まらない。前半11分には課題とされていた逆足の左足で危険なシュートを放つ。後半にはジョルジーニョの裏への浮き球に反応しヘディングシュートを放つなど、苦手だったオフザボールの動きから決定機。自陣ではセサル・アスピリクエタと協力してインターセプトやタックルを決めてボール奪取も披露。守備意識の向上も随所に感じさせた。

試合に出るたびに成長を続けるオドイ。他を圧倒するセンスに加え、この世代特有の成長の速さが加わり、いよいよ「若手」から「主力」へのランクアップが近づいている。

逸材の目的地

進化を続け日に日に存在感を増すオドイ。とはいえこの日圧巻のゴールを決めたアザールをはじめ、同ポジションのライバルたちの壁は高い。順位的にも予断を許さない状況が続く。
また個人的な話のあると自身がこれまで結果を残してきた相手も、格下や数的不利の相手が多く、ビッグマッチで輝けるかどうかは未知数だ。決定機に力んだり、軽く抜かれるシーンもあった。

しかしこのセンスと成長速度なら間違いなく将来は主力以上の存在を目指さなければならない。アザールのレアル移籍の噂や補強禁止、ペドロとウィリアンの高齢化など、正直言ってオドイがやってくれなければかなり厳しい闘いが今後は予想される。

カラム・ハドソン・オドイ。今現在はまだチェルシーの未来であり、期待の若手だろう。しかし彼が目指すべき目的地はもっともっと先にある。そして何より、それに届きうる存在であることを確信させる先発デビューだった。

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