はじめに
「相手の調子が悪い」ことほどチェルシーにとって危険なことはない
得点者
マンチェスター・ユナイテッド 2-1 チェルシー
得点:前半17分、後半24分スコット・マクトミネイ(マンチェスターU)/前半45分 コール・パーマー (チェルシー)
試合前
数的不利となったブライトンとの一戦を制し、なんとか10位に浮上したチェルシー。
ブライトンも深くまで攻め込むことはできず、逆にチェルシーも流れの中からチャンスをなかなか掴めない。
強豪との連戦、ミッドウィークにオールドトラッフォードに乗り込む。
コナー・ギャラガーがまさかの退場になり、加えて怪我人も相変わらず。
デビューが待ち望まれるクリストファー・エンクンクはこの日もスカッドからは漏れた。
抗議での退場とこちらももったいなかった。
フルメンバーが揃わない中、数的不利の後の過密日程での連戦ということで、体力的にはチェルシーがやや厳しいか。
対するユナイテッドはリーグ戦の連勝がストップ。
チェルシーも敗れた、ニューカッスル相手に内容も伴わない敗戦。
またCLでもグループ最下位と振るわない。
一方でチェルシーはこの手のチームに弱かったりする。
どちらにせよ、厳しいことには変わりはない。
帰ってきたらリース・ジェームズはベンチに置き、コルウィルが左SB、マルク・ククレジャが右SBに入った。
ギャラガーのいない中盤にはコール・パーマーを据えた。
対するユナイテッドは不調のラッシュフォードではなくアントニーを起用。
今夏移籍したメイソン・マウントは負傷のためベンチからも外れた
試合内容
試合は完全にユナイテッドペースで進む。
出足の早いユナイテッドに圧倒され、チェルシーのビルドアップは全く機能しない。
素早いプレスに押され自陣でミスが連発。
シュート意識の高いユナイテッドが何度もゴールに迫る。
さらにアントニーにレイトで行ったエンソ・フェルナンデスのプレーがファールとなり、ユナイテッドにPKが与えられる。
このPKは守護神サンチェスがスーパーセーブ。
ブルーノ・フェルナンデスのフェイントにも惑わされず、見事なセーブでチームを救った。
守護神の活躍に奮起したいところだが、それでもチームは締まらず。
ミハイロ・ムドリクもシュートを仕留めきれない。
すると再び軽率なプレーからボールロストし、最後はマクトミネイに沈められ、とうとう先制を許す。
そのマクトミネイには再度ヘディングで決定機が来たが、ここはサンチェスがなんとかセーブ。
奮戦する守護神に応えたい攻撃陣は、ムドリクが中で受ける動きから変化をつける。
すると前半終了間際、そのムドリクのパスを受けたパーマーが意表をつくタイミングで左足。
パスのような優しいシュートでコースをつき、劣勢の前半で貴重な同点ゴールを奪った。
その後もユナイテッドが攻勢に出るが、なんとか耐えたチェルシー。
前半を1-1で終えられたのは奇跡と言っていい。
後半開始からリース・ジェームズを投入するチェルシー。
前半のような重さはないが、ビルドアップでのミスは相変わらずで、ガルナチョに何度もシュートを許す。
その後も自陣でのミスが止まらず、後半もユナイテッドペースで試合は進む。
守備でのスイッチが入らないのも変わらずで、スターリングとムドリクの意識の低さが目立つ。
交代のジェームズもパフォーマンスが上がらず、その右サイドを崩され最後は再びマクトミネイに押し込まれる。
運動量で圧倒的な差をつけられる擁護し難いプレーで、再び失点。
その後の交代選手も思ったように機能せず、選手交代タイミングのミスも目立った。
その後は2トップにするチェルシーだが、チームとして一貫性はない。
唯一可能性を感じたのは途中出場のブロヤのヘディングだったが、惜しくもポストに嫌われた。
その後も一向にスピード感は上がらず、2-1で試合終了。
攻守に躍動したユナイテッドと、組織力のなさを露呈したチェルシーというスコア以上の敗戦となった
選手採点
GK
ロベルト・サンチェス 7.0
PKストップを含めた好セーブ連発でなんとか試合の維持に貢献。
30本のシュートを浴びながらもよく2点で収まった。
ただビルドアップではあまりにもミスが多く、自身で招いたピンチも多々。
かと言ってロングキックも終始安定せず、頼りになるとは言い切れないプレー。
DF
チアゴ・シウバ 5.0
バタつくビルドアップや締まらないチームを立て直せず。
自身もらしくないミスが出るなど、いつもの存在感は出せなかった。
もちろん相方の問題やそれ以外のプレーヤーのパフォーマンスもあるが、一度喝を入れてほしい
アクセル・ディサシ 5.0
組み立てでは頼りにならず、前線へ効果的な繋ぎができない。
パスコースは常に相手に読まれており、カウンターの狙い目になっていた。
守備でもタイトさを欠き、このレベルでは明確に落ちていることを見せてしまう。
差し置いているCBより優れた点は見受けられなかった
レヴィ・コルウィル 5.0
左SBで起用されたが、持ち味は出せず。
前節と違い、選択肢がある中でこの選択をした監督に責任があるが、、、
2失点目ではあっさりとマクトミネイ競り負け、期待された空中戦でも活躍できなかった。
ククレジャを左SBに置き、コルウィルをCBにする手もあったはずだが。
マルク・ククレジャ 5.0
右SBで起用され、ガルナチョと対峙。
個人的にはブルーノ・フェルナンデス、ルーク・ショーも絡んでくる中、よくやっていたとは思う。
自身の交代で出たジェームズも不甲斐なく、左SBに置きたかった
MF
モイセス・カイセド 6.5
ギャラガーのいない中盤で広範囲をカバー。
後ろも前も守備に貢献できない中、幅広く顔を出し、なんとか決壊を防いだ。
ビルドアップでは思ったような貢献はできなかったが、守備面での活躍を評価したい。
特に右サイドのあまりにもぬるい守備の尻拭いに奔走させられたのは気の毒としか言いようがない。
エンソ・フェルナンデス 5.5
疲労もあったか、パフォーマンスは上がらず。
得意のキックやロングパスも精度を欠き、守備に追われるシーンばかりが目立った。
サンチェスに救われたが、不用意なPKもマイナス要素。
後半に決定機も訪れたが、相変わらずの決定力で、得点に結び付けられず。
コール・パーマー 6.5
クリアミスから失点に繋がるなど、中盤の選手としてはロストがあまりにも気になった。
それでも前半終了間際に見事なシュートを沈め、劣勢の前半をタイスコアで折り返させた点は高く評価したい。
ただ停滞するチームを1人で変えるには至らず、左偏重のプレーも気になる。
とはいえ相対的には良い方だったのは間違いない。
FW
ミハイロ・ムドリク 5.5
前半から何度か迎えたチャンスはシュートもパスも精度を欠く。
守備での貢献も薄かったが、徐々にいい位置で受けられるようになり、アシストを記録。
ただ決定機でのミスや守備貢献での負債が大きく、トータルはマイナス評価。
守備をしない並のWGとなっているのが現状である。
ラヒーム・スターリング 5.0
所々で仕掛けはあったが、効果的な物はほぼなかった。
それよりも守備での強度の低さがやはり目立ち、ユナイテッドのストロングを発揮させてしまう。
相手のSBを見ないため、後ろの味方が常に数的不利になっており、失点にも間接的に絡んでいると言っていい。
前節もその煽りを食う形で周りが被害を被っている。
今季はキレのある動きを見せているが、それができない試合では無視できないレベルの足かせだ。
ニコラス・ジャクソン 5.0
自身のロストから失点に繋がり、前半はさらに決定機もミス。
せっかく収めても繋げられないケースが多く、CFとしては落第点。
決してチャンスがないわけではないが、判断を誤り逸してしまっているのが現状だ。
ここ最近は調子を上げてきていたが、再び評価を落とす試合に。
交代選手
リース・ジェームズ 5.0
後半頭から出場。
試合に入れなかったか、緩いプレーのチームに好影響を与えられず。
ガルナチョにも先手を取られ続け、主将としてのプレーは果たせず。
ポチェッティーノは英国人を主将に置きたがっているが、それだけでは限界を感じる。
アルマンド・ブロヤ 5.5
終盤に出場。
2トップに入り、自身にはヘディングでの好機が訪れたが、仕留めきれなかった。
監督
マウリシオ・ポチェッティーノ 5.0
怪我人が多いのはやむを得ないが、それでも不可解な采配が目立つ。
ディサシの重用、ククレジャとコルウィルの位置とスタメンからうまく行きづらい状況を作り、交代でも形は変わらず。
またマートセン投入の取りやめなど、後手を踏んだ印象は拭えず。
無駄なイエローが減ったのは良かったが、それ以外は成長を感じられない指揮ぶりだった。
終わりに
木曜の早朝に見ていい試合ではなかった。
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