はじめに
延期分がこのタイミングに来ちゃうのはあるある
得点者
チェルシー 2-0 トッテナム
得点:前半24分 トレヴォ・チャロバー、後半27分 ニコラス・ジャクソン(チェルシー)
試合前
日本のゴールデンウィークに合わせるかのような連戦。
実態は国内カップ戦を勝ち進んだことによる延期分である。
前々節はアーセナル相手のショッキングな敗戦となり、流れを断ち切るはずのヴィラ戦も2点のビハインドを前半に背負った。
またも惨敗になるかと思われたが、そこからマドゥエケとギャラガーの得点で試合を振り出しに戻すと、最後は逆転に限りなく近づくところまで盛り返した。
怪我人が尽きない中、死力を尽くしてのドローで、チームには一筋の光明が差した。
満身創痍で持ち帰った勝点を祝う間もなく、またもCL権争いの渦中にいるチームが相手となる。
スパーズとのロンドン・ダービー。
アーセナルとのノースロンドンダービーを落としたスパーズはここで再起を期す。
お互い超の付く過密日程だが、特に怪我人が二桁を超えるチェルシーはより苦しい。
前節はさらにチアゴ・シウバが足を痛め、同じCBのアクセル・ディサシも離脱。
スタメンを揃えるのが限界のスカッドで、ユースメンバーが多くベンチに入ることになった。
また出場こそできていても、攻撃的なプレーヤーは特に疲労が顕著のはず。
14人も怪我人を抱える状態で、モチベーションの高いスパーズとの激突。
間違いなく苦しい戦いになるが、気持ちで負けていい相手ではない。
怪我人続出を受け先発起用されたアルフィー・ギルクリストを筆頭に、特に下部組織出身のプレーヤーの奮起が求められる試合になった。
試合内容
スパーズ移籍が囁かれるコナー・ギャラガーの残留を願うバナーが掲げられた試合は、入りから高いテンションで推移。
ここ二試合は連続で立ち上がりの失点を喫しているチェルシーだが、今節は逆にビッグチャンスをすぐに迎える。
ムドリクのスルーパスにジャクソンが抜け、最後はヴィカーリオの股を抜くシュートを流し込む。
先制かと思われたが驚異的なスピードで戻ったファンデフェンがかき出し、早々の先制とはならず。
この試合はヴィラ戦で奏功したククレジャを中に立たせ、ムドリクが幅をとる形を開始から採用する。
そのククレジャが神出鬼没な動きで最終ラインの裏をとるが、再びファンデフェンがカバー。
さらにそのククレジャ起点のビルドアップから、最後は逆サイドのギルクリストが狙うが、エバートン戦の再現とはならなかった。
限られたメンバーながら奮闘し、試合を優位に進めるチェルシー。
良い流れの中、先制点をセットプレーから奪うことに成功する。
ギャラガーのキックに反応したチャロバーが技巧的なヘディング。
下部組織出身の二人でヴィカーリオを破った。
勢いに乗るチェルシーはパーマーが上手くボールを引き出すと、ここ数節よりはいい絡みを見せるムドリクが右足を強振。
ここまで大きく外れていたシュートは惜しい軌道でゴールに向かうが、これは枠の右にわずかに逸れた。
対するスパーズはノースロンドンダービーでも得点を奪ったロメロが決定的なヘディング。
セットプレーからチャンスを返すが、これはボール一つ分外れて事なきを得た。
前半終盤にかけてはスパーズも前がかりに試合を進めるが、ククレジャとカイセドが球際で力強いプレー。
気合の入ったブライトンコンビの奮闘もあり、チェルシーが一点リードで前半を終えた。
ポステゴグルーが檄を飛ばしたか、後半の立ち上がりはスパーズがペースを握る。
ソンフンミンとギルクリストの実力差を突かれるが、近くのマドゥエケやチャロバーが懸命にフォロー。
左は前半同様、ククレジャが気合の入った守備で対人の強さを見せる。
チェルシーもカウンターを狙うが、疲労もあってか、なかなか推進力を出せない。
さらに圧力をかけるスパーズはベンタンクール、ホイビュア、マディソンと3枚替え。
前半とは対照的な構図になるが、最後のところはやらせないチェルシー。
するとククレジャが上手くファールをもらい、再びセットプレーのチャンスをチェルシーが得る。
キッカーを務めたパーマーが鋭い左足はクロスバーに嫌われるが、こぼれ球にニコラス・ジャクソン。
直前のインタビューで反省を口にしていたCFが頭で押し込み、ホームチームが貴重な追加点を奪う。
効率よくリードを広げたチェルシーに対し、さらに押し込むスパーズ。
ブライアン・ヒル、ロチェルソとさらに攻撃的なカードを切るのに対し、ギルクリストが足をつったチェルシーはアチェンポンがスクランブルでデビュー。
さらにジャクソンを下げてタウリアイネンもリーグデビューを果たしたチェルシーは、時に6バックまでの撤退守備で抗戦する。
最後の最後まで気持ちを見せたチェルシーがライバル相手にシャットアウトゲーム。
大きなクリーンシートでロンドンダービーを見事な勝利で飾った
選手採点
GK
ジョルジェ・ペトロビッチ 6.0
フィールドプレーヤーのブロックはもちろん、スパーズのシュートが精彩を欠いたこともあり、ビッグセーブを強いられる場面はなかった。
サイドからの高速クロスにはしっかりと反応し、敵FWの前でしっかりとセーブ。
セーフティなプレーでチームを落ち着かせた。
若い守備陣とともに、難敵相手にクリーンシートを達成したのは一つ自信になるだろう。
DF
ブノワ・バディアシル 6.5
チーム状況的、CBの枚数的、自身の評価。
全てギリギリのこのタイミングで調子を取り戻す。
鋭い読みと空中戦のパワーが復活しつつあり、前に出ての迎撃もしっかりとこなす。
身体を預けてくる相手にやや苦戦した印象はあったものの、落ち着いた彼らしいプレーで最後のところはやらせず。
再三のセットプレー守備でも存在感を見せ、復調の気配は本物のようだ。
トレヴォ・チャロバー 7.0
怪我人がさらに出た最終ラインで奮闘。
難しい体勢から決めた貴重な先制点も大きく、チームに勢いをもたらした。
特に後半は押し込まれる時間が非常に長くなったが、諦めずに身体を投げ出し続け、危険なシュートには必ず体を投げ出す。
離脱したチアゴ・シウバを彷彿とさせる活躍ぶりで、攻守にわたり躍動した。
アルフィー・ギルクリスト 6.0
ワールドクラスのアタッカーであるソンフンミン、途中からは左に移ったブレナン・ジョンソン相手に懸命に食らいつく。
実力差が露呈したビッグロンドンダービーとは違った姿で、最後までファイトし続けた。
マドゥエケのフォローやソンの不調も要因ではあるが、彼の粘りは当然評価に値する。
最後は身体がもたずに足をつったが、最終盤までよく戦った。
マルク・ククレジャ 7.0
攻撃ではビルドアップの起点として、守備ではブレナン・ジョンソンの封殺と八面六臂の活躍。
先制点のシーンでは上手くチャロバーをフリーにさせるアシスト級のブロックで、数字がつかないながらも大きなプレー。
押し込まれた後半も適切な距離感を保ちながら、出るべきところは仕掛ける積極的な守備で、スピードあるWGを完封。
気迫と技術を兼ね備えた、自らの長所を最大限に発揮したプレーはMOMに値する
MF
モイセス・カイセド 6.5
この日もスーパーカイセドが降臨。
ギャラガー、ククレジャという左右のダイナモの存在もあり、自身のタスクに専念。
危険な位置へ踏み込まれた際はすっと身体を寄せて的確なタックルを繰り出す。
同じクラブ出身のビスマ相手に優位に立ち、ククレジャと共にブライトンをルーツとするMFに自身の価値をはっきりと示す。
コナー・ギャラガー 6.5
掲げられたバナーに応えるかのような躍動ぶり。
ライバル相手に球際を激しく戦い、無尽蔵のスタミナで幅広いエリアに顔を出す。
高精度のキックで先制点をアシストするなど、攻撃でも数字を残した。
何をどう考えても出していい選手ではないのは明らかで、後半は気迫の三度追いでさらにサポーターを青く燃やす。
コール・パーマー 6.5
この日も中央で起用され、試合経過とともにボールに絡む回数も増える。
らしくないシュートミスなど決して本調子とは言えず、またURLも発行守勢に回る時間の長い試合展開でいつも通りのチャンスクリエイトにはやや至らなかった印象。
それでもバー直撃のFKでジャクソンの追加点を演出するなど、随所で上手さと違いを見せる。
守備でも的確にコースをふさぎ、IQの高さを示した。
FW
ミハイロ・ムドリク 5.5
アイソレーション気味の布陣はこれまでよりもかなりやりやすそう。
アシスト未遂や惜しいシュートなど、直近の試合よりはかなり多くのチャンスに絡んだ。
反面、ガス欠気味の後半は、特に守備で物足りないシーンが目立ち、運動量に課題。
同サイドのククレジャやギャラガーが頑張っているだけに、サポートに最低限の汗をかいてほしいところ。
ノニ・マドゥエケ 6.5
キレキレのドリブルはもはや阻止不可能。
エメルソンレベルでは端から相手にもならず、右サイドを何度も切り裂く。
さすがに連戦や試合展開もあり仕掛ける回数は限られたが、ボールの落ち着きという点からも大きな役割を果たす。
後半は時に最後尾まで下がり、ギルクリストをフォロー。
献身的な姿勢もまた、評価に値するグッドポイントだ。
ニコラス・ジャクソン 7.0
もっと決められた、と反省を口にしたインタビューの直後の試合で大仕事。
開始早々の決定機は寸前のクリアにあったが、後半はワンチャンスを生かし貴重な追加点をマーク。
スパーズ相手の今季4点目のみならず、ファンデフェン相手に巧みな身のこなしで互角に渡り合う。
ドログバの初年度を超える移籍リーグ11得点目で、決意を結果で示す。
交代選手
チェザーレ・カザディ 6.0
ムドリクに代わり途中出場。
ほとんど交代カードが使えない中、貴重なガソリンとなる。
撤退を選択した中で見せ場は限られたが、体躯を生かし競り合いに何度も勝利。
時間とスペースをうまく稼ぎ、完封勝利に貢献した。
ジョシュ・アチェンポン ‐
イミ・タウリアイネン ‐
監督
マウリシオ・ポチェッティーノ 6.5
ヴィラ戦で機能したククレジャの中盤配置を継続し、前半の流れを掴む。
後半は苦しい時間が続いたが、効果的に追加点をあげ、終わってみれば2‐0の完勝でシーズンダブルを達成。
怪我人が続出する苦しい台所事情の中、限られたメンバーのメンタルを含め上手くまとめ上げた印象で、古巣相手に会心の勝利。
ホーム三連勝で自身のプレミア400試合目を飾る。
終わりに
完全撤退も辞さない姿勢と、効率の良い2‐0は最高ですね。
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