はじめに
矛と盾が入れ替わっている。
得点者
リバプール 2-1 チェルシー
得点:前半29分 モハメド・サラー、後半 6分 カーティス・ジョーンズ(リバプール)/後半3分 ニコラス・ジャクソン(チェルシー)
試合前
前節はノッティンガム・フォレストの強固なブロックを前に、勝点1に留まったチェルシー。
先制を許した直後にノニ・マドゥエケの左足で試合を振り出しに戻すと、終盤にはジェームズ・ウォード・プラウズを退場に追いこむ。
数的優位に立ったものの、これでフォレストも完全撤退とカウンターに集中し、むしろチェルシーゴール複数回脅かした。
チェルシーもエンクンクら交代選手を中心に得点に迫ったが、ここからは両GKが魅せ合う展開に
前々節は失態を演じたチェルシーGKロベルト・サンチェスとフォレストのGKマッツ・セルスがビッグセーブを連発し、スコアと勝点は1にとどまった。
チェルシーは連勝こそ止まったが、開幕節以外は負けなしと手堅い成績。
エンッオ・マレスカは9月の最優秀監督賞を受賞し、トップ集団に食らいつきながら序盤戦を戦っている点は嬉しいサプライズだ。
インターナショナルマッチウィークを挟み、相対するのはそのトップ集団の一角、リバプール。
ここ数年はカップ戦含め何度も顔を合わせている両チームだが、直近の対戦成績ではリバプールが上。
90分で決着がつかないことも多いが、延長戦やPK戦でリバプールが競り勝つというのが近年の様相だ。
両チーム新監督ではあるが、多数の新戦力を迎えたチェルシーに対し、リバプールはフェデリコ・キエーザのみの夏。
故に今季は苦戦予想もあったリバプールだが、蓋を開けてみればしっかりと優勝戦線を牽引する仕上がり。
開幕からわずか2失点と守備に優れ、懸念の選手層は1.5軍クラスだった若手選手の台頭でむしろ厚くなったようにさえ感じる。
前節はチェルシーが分けたクリスタル・パレスをしっかりと下し、3位につけている。
スカッドで気になるのはチェルシーで、ウェズレイ・フォファナとマルク・ククレジャのスタメン組2枚が早くも累積で出場停止。
リバプールは絶対的守護神のアリソン・ベッカーが負傷で不在だが、カップ戦で何度も苦汁を舐めさせられたケレハーの方が苦手まである。
代表戦では多くの選手が得点を奪ったチェルシー。
守備陣がやや心許ないだけに、リバプールの守備をどこまで慌てさせられるかがカギになる。
そのチェルシーのスタメンは主将、リース・ジェームズが先発に復帰し、マロ・グストが左に回る。
エンソ・フェルナンデスが外れ中盤はモイセス・カイセドとこちらも復帰のロメオ・ラヴィア。
攻撃陣は固定化されつつあり、サンチョらが並んだ。
対するリバプールは早々に代表から帰還したファン・ダイクら主力が並び、やはりキーパーはケレハー。
南米で戦ったマクアリスターやルイス・ディアスはベンチとなった。
選手採点
GK
ロベルト・サンチェス 5.5
一ついいキックを見せた直後にあわや失点のミスを犯すなど、相変わらず安定感を欠く
前半の失点はPKで自身の責任ではなかったが、後半の失点はジョーンズにやられた感。
コーチングを含め鼻先でやられてしまった。
前半終了間際にはあわや誤審で再度PKとなりかかったがさすがに取り消された。
総じて自身に責任がある失点ではなかったが、流れを引き寄せるプレーはできなかった。
DF
レヴィ・コルウィル 5.5
サラーやジョタ相手に奮闘し、陸空で激しいデュエルを展開。
アグレッシブなプレーで戦ったが、不運もありPKを献上。
慌てず対応を、と言うのは簡単だが実際には難しい判断だった。
後半は大きく変わったディフェンスラインを引っ張り、ビルドアップも恐れず引き取る。
失点に絡んだ為採点は落ちたが、今後の戦いに期待の持てる出来だった。
トシン・アダラバイヨ 5.0
開始早々にサリバを思わせる危険なプレーがあったが、イエローで難を逃れる
アダラバイヨパニック。
フィジカルで上回りたいところだったが、スピード勝負に持ち込まれ苦戦。
ビルドアップでもチャレンジは見せたが危険なミスも散見された。
フォファナ不在時のアピールには至らず、後半途中交代。
マロ・グスト 6.0
ククレジャのいない左サイドを任され、絶対エースと激突。
足元の戦いでは持ち前の機動力で一歩も引かない守備を見せるが、プレーを切り替えたサラーを食い止められず。
背負うプレーも難なくこなす強靭なフィジカルに苦慮した。
左では攻撃の持ち味も生かせなかった。
後半途中から回った右ではらしさを強く出したものの、最後のシュートはブロックにあった。
リース・ジェームズ 6.0
優勝候補相手に復帰戦。
試合勘の問題もありやや判断が遅れるシーンもあったが、それでも取り返せる身体能力はさすがの一言
ビルドアップでも速い振りでの正確なミドルパスが出口としてよく機能した。
それだけに交代直前に連係ミスで奪われた2点目が痛かった。
攻撃で取り返したかっただろうが、あえなく時間制限。
存在感は見せたが、悔しいワンプレー。
MF
モイセス・カイセド 6.5
南米に戻ったエンソやマクアリスターが日程を考慮されたと思われる中、いつも通り先発フル出場。
相変わらずの鉄人、というかブラック企業である。
申し訳ないが選手層がかなり厚くなった今のチェルシーでも替えが効かないレベルの選手ということだ
テクニックにもフィジカルにも優れる敵の中盤に対し真っ向勝負。
どちらでも力強いプレーを見せ、スルーパスでアシストも記録。
攻守両面で中核ぶりを披露
ロメオ・ラヴィア 6.0
流麗なターンで何度も局面を打開。
これまでの相手より一段上のプレッシャーだっただろうが、難なくチームのベクトルを前に向ける
斜めに入る難しいパスも平気で処理するスキルの高さでWGに託す
リンクマンとしてのプレーもさることながら守備でも存在感。
こちらも時間制限があったのだろうか、後半途中交代が惜しまれる。
センスは一級品なだけに、あとは長くピッチに立てるかどうかだ。
FW
コール・パーマー 6.0
最大級の警戒を敷かれる。
カーティス・ジョーンズがパワフルに消しに来ていた。
したがっていつもよりボールを受ける回数は少なく、低い位置でのプレーが増えた印象
それでもシュートに持ち込んだシーンはあったが、枠を捉えきれず。
本人の問題ではないが、若干の聖域化が見て取れ、代償を途中交代の選手が食っている感も否めない。
パーマーの能力を活かしつつ、チーム火力を最大化する指揮が求められる。
ノニ・マドゥエケ 6.0
切先と思われた左が苦戦する中、右サイドで質的優位を取る。
ロバートソン相手に、時には数的不利な中でも強引に食いちぎる。
馬力の高さは既にプレミアトップクラスと言える。
個人で打ち破る姿は何とも頼もしかったが、得点にはあと一歩。
最後の壁を打ち砕いてもらいたい。
ジェイドン・サンチョ 5.0
突破口としての役割を期待されたが、アーノルドの粘り強い守備に苦戦。
試合後物議を醸すシーンもあるにはあったが、まあ下手な審判団を頼ってはいけない。
いい形でボールを受ける回数は多かったものの、そこから決定機には持ち込めず。
前半のみでピッチを去る
ニコラス・ジャクソン 7.0
屈強なCBに苦戦しながらも、スピードのある裏抜けで前半に一度ゴールを脅かす。
このシュートは枠を捉えられなかったが、後半開始のチャンスはしっかりとものにし、成長を示す。
1vs1を決められるジャクソン、優秀すぎる
決して自身が得意とする展開ではなかったが、その中で役割を果たしたのは非常に頼もしい
90分での存在感は欠いたが、ゴールという結果を高く評価したい
交代選手
ペドロ・ネト 6.0
サンチョに代わり後半開始から左サイドに入る。
縦への突破は相当警戒されており、サンチョ同様同アーノルドの守備に苦戦
戦術を変え内への踏み込みを増やすと、比例してチームのチャンスも増加
スピードのある切り込みでエリアに迫った。
後半途中からは右に回り、惜しいクロスなどでゴールに迫るが、最後が合わず。
期待よりは抑え込まれたが、それでも好機の演出には貢献した
レナト・ヴェイガ 6.0
守備時には左SB、攻撃時には中盤に入り、怖気づかずにプレー。
グストにはない高さや強さで、アバウトなボールはものにさせず。
セットプレーからチャンスも迎えるが、ヘッドは得意ではないのか枠を外した
総じてよくやったと言える出来で、トップチーム相手にも堂々と戦う。
代表デビューも果たした若武者は、飛躍のシーズンになりそうだ。
エンソ・フェルナンデス 5.5
ラヴィアに代わり後半途中出場。
局面を変えたい意思は感じたが、うーん、結果には結びつかず。
エリア内に走り込むことも多かったが、どちらかといえば走り込ませる側にいてほしい
2列目チックな振る舞いもできるユーティリティな選手だが、できるで勝てるほど甘くない
振る舞いがベストな3列目での躍動を見たいが…
ブノワ・バディアシル 6.0
左CBの位置で出番を得る。
正直現在のCBの序列では最下位かと思っていただけに、驚きの交代だった。
精神面が取り沙汰される選手だが、ダルウィン・ヌニェスとの激しいバトルでスイッチオン。
好戦的な感情に切り替わったのか、果敢なプレーを随所に披露。
毎回そんな強いのプレーを見せてくれ。
クリストファー・エンクンク 5.5
切り札として最後のカードで投入される。
強みを活かしやすいエリア近辺ではなく、サイドに置かれてしまったのは残念
「できる」では勝てんのよ。
イエローの誘発や惜しい飛び込みで見せ場を作るが、期待された所に顔を出す回数は限定的
サイドならフェリックスでも良かったのでは。
監督
エンツォ・マレスカ 5.0
チェルシーにしては極めて珍しいフルスカッドを整えた点は評価、というか驚愕。
スタメンの守備陣を2枚欠く中、リース・ジェームズとロメオ・ラヴィアの復帰組、そしてアダラバイヨに託した。
復帰組はクオリティを見せた一方、アダラバイヨは期待未満だったか。
交代の判断自体は良かったが、交代選手の使い方には疑問が残る
ネトやエンソ、エンクンクがベストな位置でプレー出来たとは言い難い。
采配ミスとは言えないまでも、このレベルの戦いでは勝負を分けるディテールだったか。
終わりに
いい加減、リバプールに勝ちたいものです。
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