サッカー選手のドーピングとその処分について

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はじめに

今季復調の気配を漂わせている我らがチェルシーであるが、悪い知らせが入ってきた。

10番を背負うミハイロ・ムドリクがドーピング検査で陽性となったのだという。

既にクラブは声明を出しており、ムドリクと検査への全面的な支持を示している。

ムドリクも当然故意での禁止薬物摂取を否定しており、現在はチームから離れて追加調査を受けている。

今回はサッカー選手とドーピングについて取り上げてみたい。

前提

まずこの記事はムドリクの結果について論ずるものではない。

極東のサポーターのあずかり知らぬところで事は運ばれ、しかるべき時になればクラブから正式な発表あるだろう。

あくまで過去の事例を遡るだけであり、またそこからムドリクの将来を確定、推定するものでもない。

昔はこんなことがあって今はこうなった、という羅列であり、水・金・地・火・木・土・天・海みたいな記事と認識いただきたい。

ムドリクから何が検出されたかも知らないし、そもそも真陽性でないかもしれない。

ただまあ、ある程度参考になるだろうという考えでまとめている。

それでは数ある中から特に有名な事例を見ていこう

サッカー選手のドーピング事例

古くはディエゴ・マラドーナや”闘犬”エドガー・ダーヴィッツら、レジェンド級のプレーヤーにも絡むドーピング問題。

今回は2010年以降、欧州を中心に禁止薬物の摂取事例を主に見ていく。

アンドレ・オナナ

  • 当時在籍:アヤックス(2020)
  • 原因:妻の薬の誤飲
  • 処分期間:1年間→9か月に短縮

現マンチェスターユナイテッドのアンドレ・オナナは直近でこの問題を抱えたプレーヤーの1人だ。

アヤックスで地位を確立し、欧州大会でも実績を残していたオナナ。

ステップアップ間近と言われていた中での報道に驚いた方も多いのではないだろうか。

また年齢は当時24歳と、23歳のムドリクとも近しい。

9か月の活動停止処分後は安定したパフォーマンスを見せ、セリエAへの挑戦も実現させている。

移籍先のインテルでも好プレーを見せ、現在はマンチェスターユナイテッドに所属。

怪しいプレーがないではないが、補って余りある凄まじいセービングと高い足元の技術で、不動の守護神として君臨。

ドーピングからカムバックを果たした好例と言えるだろう。

「フットボールを取り上げられた」アンドレ・オナナ。ドーピング疑惑による出場停止からピッチに戻ってくるまで/独占インタビュー

なお同じような事例として、やはり元マンチェスターユナイテッドのフレッジもあげられる。

シャフタール・ドネツク時代に参戦したコパ・アメリカで1年4か月の出場停止処分を科される。

2016年に試合へ復帰すると、2年後に赤い悪魔への移籍を果たした。

ユナイテッドでのパフォーマンスに賛否はあったが、同期間でW杯メンバーにも選出されている。

こちらもポジティブな事例として良いだろう。

パブ・ゴメス

  • 当時在籍:セビージャ(2022)※発覚はモンツァ時代(2023)
  • 原因:息子の薬の服用
  • 処分期間:2年間

有望株だったオナナとは対照的に、晩年近くの資格停止はかなり重い。

元アルゼンチン代表のパブ・ゴメスことアレハンドロ・ゴメスはW杯決勝直前にその知らせを受けた。

アタランタで抜群の存在感を見せた小柄なテクニシャンで、当時はセビージャに所属。

薬を飲んだその日は、咳が止まらなかったのだとか。

結果的にその代償はあまりに重く、現在はセリエCのチームに合流しているとのこと。

2023年10月の通告から1年が経過したが、期間はもう1年残っている。

その時、パブ・ゴメスは37歳になっている。

ドーピング違反で2年出場停止の“パプ・ゴメス”が沈黙を破る「誰も自分に電話をかけてくれなくなり…」

コロ・トゥーレ

  • 当時在籍:マンチェスターシティ(2011)
  • 原因:妻の薬の服用
  • 処分期間:6か月

プレミアリーグの事例も取り上げておきたい。

アーセナルの無敗優勝のメンバーとして知られ、マンチェスターシティやリバプールに在籍経験のあるコロ・トゥーレ。

10‐11シーズンの最中に、出場停止処分を受けることになる。

強豪への過渡期だったマンチェスターシティにおいて、それまではレギュラークラスだったコロ・トゥーレ。

しかし6か月の離脱後は徐々に出場機会が減少。

もちろんこの出場停止以外にも理由はあるだろうが、シーズン中に半年離れることは大きな影響を与えたに違いない。

またドーピング関連は単なる負傷と異なり、チームとの接触を断たれることも多い。

30歳前後という最も脂の乗った時期に痛い欠場になったことは想像に難くない。

その後リバプールへと移籍しているが、キャリアの大きな分岐点だったはずだ。

アドリアン・ムトゥ

  • 当時在籍:チェルシー(2004)
  • 原因:コカイン摂取
  • 処分期間:7か月

やや古いが、チェルシーの事例もある。

アドリアン・ムトゥはルーマニア出身のファンタジスタで、イタリアを中心に活躍。

チェルシーにも2年間在籍した経験がある、、、、というのはすべてGoogle先生の受け売りである。

私がサッカーを見始める前ですね。

詳しい方がいたら寄稿を求めます。

あまり素行が良くないということもデスクトップは教えてくれ、問題児だったとのこと。

当時監督のモウリーニョとの関係性も悪く、出場停止処分と同時に解雇されている

ポール・ポグバ

  • 当時在籍:ユベントス(2023)
  • 原因:サプリメントの誤摂取
  • 処分期間:48か月→18か月に短縮

現在進行中なのがポール・ポグバの事例だ。

抜群の才能と大いなるムラを兼ね備えるMFはマンチェスターユナイテッドとユベントスを行ったり来たり。

2回のフリー移籍に加え、イングランド復帰時には100億が動いたことから、ユナイテッドのビジネスの悪例、逆にユベントスの好例としても名が上がる。

しかしながら23‐24シーズン、セリエA開幕戦での陽性反応でキャリアは停止してしまった。

知人から得たサプリメントにテストステロン増加物質が入っていたとのこと。

最大4年、当時30歳の同選手にとってはあまりにも長すぎる処分だったが、先日期間が短縮され2025年の3月に戻れるそうだ。

当人も喜びの談話を出しており、試合復帰はもう間もなくだ。

一方でその間にユベントスとは契約解除になっており、現在は無所属。

再起への道は決して楽ではない。

ヤクブ・シュヴィルツォク

  • 当時在籍:名古屋グランパス(2021)
  • 原因:サプリメントの摂取(誤記載)
  • 処分期間:4年間→なし

Jリーグから1件、珍しい事例を紹介したい。

ヤクブ・シュヴィルツォクはポーランド出身のアタッカーで、名古屋グランパスで活躍をしていた。

トラブルに見舞われたのは2021年。

AFCアジアチャンピオンズリーグのドーピング検査にて禁止薬物が検出され、アジアサッカー連盟4年間の出場停止処分を下した。

なお本ブログ管理人が応援しているガンバ大阪はこの選手にボコボコにされている。

”クバ”の愛称で親しまれていた同選手は、この禁止薬物が「成分表になかった」ことを主張。

スポーツ仲裁裁判所(CAS)がそれを認めたことで、処分なしでの活動の再開が可能となった。

アジアの事例だけに何とも言い難い部分があるが、責任の所在によっては処分自体がなくなるという事例として紹介しておきたい。

パオロ・ゲレーロ

  • 当時在籍:フラメンゴ(2017)
  • 理由:お茶の飲用
  • 処分期間:1年→一時凍結

最後はあまりにもレアな事例だ。

ペルーのレジェンドと知られるパオロ・ゲレーロは、2018年のW杯直前に陽性反応を突き付けられた。

紆余曲折を経ての1年間の出場停止処分は、W杯への不参加を意味していた。

しかし本人の上訴、さらには対戦国主将からの懇願が実り、なんと処分が一時凍結された。

結果としてW杯の出場を果たし、1ゴールを記録した。

その後処分の凍結は解除されている。

終わりに

さていかがだっただろうか。

繰り返しになるがあくまで事実の羅列であり、ムドリクについての何かを示唆しているわけでない。

一方で事例からある程度の法則性は見られる。

  • 当人の誤用だと短縮の、当人以外に明白な過失がある場合は処分がなくなる可能性もある
  • 若手プレーヤーなら再起は可能である
  • それまでのクラブとの関係性やキャリアが貯金となる
  • クラブ関係者との接触が断たれることが多い。孤独を感じやすくなる

こんなところだろうか。

進展がクラブから報告されない以上動きようはないし、処分可否さえ不明だ。

しかし仮に処分となった場合でも、サポーターのやることは変わらないのではないだろうか。

特に4つ目について。

SNS好きの筋トレマニアが、再びピッチに帰ってくることをサポーターの1人として切に望んでいる。

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