サッカー中継における実況・解説はどうあるべきか

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※本ブログは2018年12月3日にはてなブログに投稿されたものです

こんにちは。

実はスパーズ戦の記事も書いたのですが気づいたらフラム戦が始まっていて公開できず後悔している私です。

さてそのフラム戦ですが多くのチェルシーサポーターはDAZNで、というかプレミア全試合放映権を獲得しているのがDAZNですのでほとんどのプレミアフリークは加入して見ているでしょう。

Jリーグもオフシーズンとなり、DAZNでは特別企画として現役Jリーガーを解説に呼ぶ企画が組まれています。フラム戦ではお馴染みの八塚浩アナに加え特別解説として元日本代表で現アルビレックス新潟の田中達也選手が呼ばれました。

試合自体はチェルシーの2-0勝利で終わりましたが、試合中から実況解説に対する不満が噴出していました。

「田中達也のインタビューを聞きたいわけじゃない」

「試合を見てくれ」

「音量0にした」

とかなり辛辣な声が上がりました。かくいう私もチェルシーの試合にも関わらずJ2の話をされるのはちょっとなあ・・・という感じでした。もちろん新潟サポや田中選手のファンは良いのでしょうが視聴者の大多数は「この試合」を見に来ているのであって需要に応えているとは言えないのが正直な感想でした。

そこで今回は「サッカーにおける実況と解説」について取り上げます。

実況・解説はどうあるべきか

この実況・解説問題はここ最近の話ではなく、かなり以前から取り上げられているものです。基本的にJSports、あるいはスカパーでのみサッカーが見られるという状況からDAZNがサービスを始め、視聴環境が変わった時に議論になりました。

それまでは海外サッカーに詳しい最早「解説のような」実況者と長年追っている玄人である解説者が小気味よく試合を追っており、見ながらためになる話を多くしてくれました。しかしDAZN初期は慣れていない実況と詳しくない解説のコンビが多く、視聴者が間違いを指摘することもザラでした。

もちろんサービス開始直後ならその初期不良ともいうべき課題はあって当然ですが、それまで高い水準に慣れていた視聴者からすると不満は無理もなく、「はやく昔の実況解説を使ってくれ」との声が相次ぎました。

結局今では以前から務めている「常連」の放送がDAZNでも聞けるようになり、まだ慣れないアナでの実況はあるものの、有名チームは有名実況・解説が担当するようになり視聴者の不満もあらかた収まったように感じます。

(サッカーキングより)人気解説の戸田和幸氏

実況・解説のクオリティ

さてここで余談ですが有名実況と先述した面々を一度振り返りましょう。実況は

  • 倉敷保雄(ゲット~!!)
  • 西岡明彦(ボレ~!)
  • 八塚浩(面白いっ!)
  • 下田恒幸
  • 野村明弘
  • 桑原学
  • 永田実

アナがプレミア好きには馴染みの名前ですね。特に先頭4人は人気が高く、個性派の倉敷、八塚アナと安定感ある西岡、下田アナが「実況ビッグ4」と呼ばれることも。

他リーグはあまりわかりませんが西達彦、北川義弘アナは他リーグサポには馴染みが深い名前ではないでしょうか。

(Jsportsより)人気実況者を集めた特別番組も組まれた

解説は

  • 粕谷秀樹
  • ベン・メイブリー
  • 戸田和幸
  • 川勝良一
  • 水沼貴史
  • 渡邊一平

といった面々が高評価を受けているように感じます。特に丁寧な解説が評判な戸田和幸氏、イギリス人らしい現地情報に明るいベン氏、毒舌の粕谷秀樹氏、渡邊一平氏などそれぞれキャラが立っており、違った味を楽しめます。他リーグだと小澤一郎氏などでしょうか。

この実況・解説陣についてだけでもブログ一本分書けるのですが、それはまた別の機会に。

現役選手による解説

本題に戻りますが、現状ではサッカー視聴環境のほとんどがDAZNで占められています。そのDAZNによる今回の企画の是非を問います。

これは推測ですがDAZNとしてはJリーグしか見ない人々にも海外サッカーを見てもらおうと有名なJリーガーを解説に据えているのだと思われます。完全に話が横に逸れますが、DAZNは視聴者に他競技にも興味を持ってもらいたがっています。HT中にホームラン集やF1を見たことがある方も多いでしょう。

ちなみに現役選手解説企画は昨季も行っており、今季は駒野友一、田中達也、太田宏介、鄭大世、播戸竜二、中村憲剛、中谷進之介とほとんどが日本代表経験を持つ有名選手で構成されています。

しかしながらサッカー選手であるから欧州リーグに詳しいわけではなく、専門的な解説ができるわけではありません。ではこの企画は無駄なのでしょうか。

現役選手は何をすべきか

私の結論から言うと「有益になる可能性も十分にある」というものです。

彼ら現役選手は仕事がサッカーですので試合直前や直後に夜更かしして海外サッカーを見るのは良いとは言えませんし、別に会社員だからと言ってその業界の他社について詳しく知らなくてもいいのと同様に選手やチームをきめ細やかに知る必要はないと思います(もっとも一応お金をもらっているわけなので多少予習はしていてほしいものですが)。

世界的に見てもプライベートではサッカーに興味がないワールドクラスの選手も少なくありません。

しかし解説をやる以上自分の話ではなくピッチ上の出来事について集中してもらいたいものです

そうした場合に視聴者が興味を持つのは選手個人の来歴やエピソードではなく「この場合だとピッチ上では何が見えるのか」というものです。中村憲剛選手の解説は非常にクオリティが高く好評でしたが、それは中村選手自身の言語化能力やサッカーIQの高さはもちろん、「そこに自分がいたら」という視点で話す点が新鮮に映ります。他の解説者の多くにはこうしたことはできない、あるいは忘れているため、現役選手を使う最大の利点になるでしょう。

(川崎フロンターレ公式より)プレーと同様に精度の高い解説を披露する中村

解説者の価値とは「視聴者が知らない、わからないことを伝える」ことにあります。毎週戦う現役選手が伝える「ピッチ内」は当然「ピッチ外」の我々にはわからないことです。無理して「ピッチ外」のことを語ろうとする必要はないと思います。

そしてこれが現役選手が最も話しやすく視聴者側からも不満の出ない落としどころではないでしょうか。

以前チェルシー戦では浦和レッズの宇賀神友弥選手が解説を務めました。正直そこまで知名度があるわけでも海外サッカーに詳しいイメージもなかったのですが(多分実際そう)、不快ではなくむしろ「ためになる話」をしていた記憶があります。

当時チェルシーは3-4-3を使っており、宇賀神選手も浦和で同じ布陣で戦い、両WBを中心にストッパーやアタッカーも担いました。DAZN側がそこまで考慮したキャスティングをしていたかは不明ですが、同じフォーメーションで戦う現役選手ならではの視点で語っていたことが高評価の理由でしょう。

実況と解説は今後どうなるのか

DAZNの到来を受けサッカーの視聴環境が変わったうえ、実況と解説の価値観も変わり始めています。「無理だとは思うが、実況・解説を選択制にしてほしい」という声は数多く聞かれるようになりました。

実際地上波の叫ぶ以外に能のない解説への不満は別の解説者への需要となり、戸田和幸氏が「URA_KAISETSU」という有料解説サービスを始めたこと、そしてそれに多くの視聴者が集まったことも話題になりました。

新時代に投入しつつあるメディア業界。視聴者の多くの需要を満たす放送に期待です。

少なくとも「いやこれ俺がやった方がまだマシだわ」というのはご勘弁願いたいですね。

それではまた。

~おしまい~

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